長寿いきいき研究所とは
経済産業省の受託事業として、介護業務の合理化、
介護スタッフの負担軽減を研究テーマとして設立した研究所です。
新たな研究テーマとして
「高齢者とご家族にどうしたら元気でいきいき充実した人生を送っていただくけるか」をテーマに掲げ、
高齢者を寝たきりにさせない研究を、老人ホームスーパー・コートにて開始しました。
未来の介護サービスへ貢献していきたいと思っています。
設立趣旨
「健康長寿プロジェクト」の趣旨に則り、高齢者を寝たきりにさせないための研究を、
老人ホーム"スーパー・コート"で検証していきます。
概要
会の名称:長寿いきいき研究所
所在地:〒550-0005 大阪市西区西本町1-7-7 CE西本町ビル4F
電話番号:06-6541-9785 FAX番号:06-6541-9788
研究所所長:株式会社スーパー・コート 執行役員 北原 秀造
担当者:東 辰紀
長寿いきいき研究所事務局
所在地:〒105-0023 東京都港区芝浦1-9-7 芝浦おもだかビル7F
電話番号:03-3452-7733 FAX番号:03-3452-7833
事務局責任者:小森 美加
研究所長メッセージ
株式会社スーパー・コート執行役員 介護事業部部長 北原 秀造
当社は、関西でスーパー・コートという名前の介護施設を32か所運営させて頂いております。そこでは「入居者様にいきいきとした生活を提供する」をモットーに、日々の介護を行っています。
そのために取り組んでいるのが入院率の低下です。入院理由で多いのが誤嚥性肺炎と転倒骨折です。誤嚥性肺炎防止のために毎食前にパタカラ体操を行い、嚥下能力を高めています。また転倒骨折防止のために、転倒アセスメントシートを活用して転倒防止に努めています。これらの活動の結果、従来7~8%あった入院率も、いまでは4%にまで低下してきました。
今後は、更に入居者様にいきいきと生活していただくために、長寿いきいき研究所を通じて研究を進めてまいりたいと存じます。
当社の経営理念に「イキイキした生活を提供する」と記されているように、入居者様が元気に生活していただくことが重要です。そのために当初から入院率の低下に取り組んできました。入院理由のトップ2は、誤嚥性肺炎(19.7%)と転倒骨折(10.7%)であり、それ以外は、さまざまな障害や疾病になります。そこで誤嚥性肺炎の予防にはパタカラ体操を、転倒骨折の防止には転倒アセスメントシートを導入しています。また、入院日数短縮のために5早(早期発見、早期受診、早期入院、早期治療、早期退院)にも取り組んでいます。早期発見のために、ヘルパーによる早い気付き(つまづきや立ち上がり、顔色や食欲の変化)が大切であり、そのためにヒヤリハットシートの記入枚数をモニタリングしています。記入内容は提出される都度、施設長と本人が話し合い、質的向上を図っています。その結果、従来7~8%あった入院率も4.1%(2011年度)にまで落ちてきました。
次に目指したのが入居者様のADLの向上です。そのために、2011年からケアプランの質的向上と短期目標達成へ向けた取り組みを始めました。これは毎月、ヘルパーがケアプランに定めたサービス内容の実施状況、効果性、変更の必要性を評価するとともに、看護師の健康状態に関する所見とケアマネジャーのモニタリングの結果の情報をもとに、短期目標の達成状況の評価とケアプランやサービスの提供方法の改善へ向けた話し合いを3者間で行うものです。
※ADLは年齢とともに必然的に低下していきます。したがって、現実的にADLの向上を図る事は困難と判断し、ケアプランの短期目標が達成されれば、イキイキとした生活が提供できていると考えています。また、現在取り組み始めたのが入居者様に「夢」をもってイキイキ生活をしていただこうというものです。そのためにドリームシートを作成し、トライアルを始めました。
顧問メッセージ
首都大学東京大学院・都市システム科学 星 旦二教授
我が国は、超高齢社会を迎えています。また、要介護になる割合は、諸外国に比べてとても多いことが明確になっています。特に、施設においては要介護割合がより重度化しているのが現状です。
そのような状況において、スーパー・コートでは、要介護度の維持改善をめざして、口腔ケア、感染防止を徹底すると共に、楽しい食事や優れた介護、天然温泉を提供することによって、入居者の要介護状況は、極めて優れた状況であることを確認しつつあります。
私たちは、このような優れた健康状況と入居者とその家族の満足度を高く維持している背景と理由、それに健康支援状況について、調査研究をさせていただいています。
超高齢社会への新しい挑戦をしているスーパー・コートの先進事例から、世界に向けた健康長寿のための効果的な実践方法を提示できるように誠意努力していきます。これからも、我々の活動に注目いただきたいと思います。
東京慈恵会医科大学大学院 医学研究科 看護専攻地域連携保健学 櫻井 尚子教授
高齢のお一人おひとりの”楽しみ”や”願い”を大切にし、介護が必要でも「元気です」と喜べる暮らしを願っています。
そして、スーパー・コートのスタッフと共に、人生の先輩である利用者の皆さまとそのご家族からの学びを大切にし、互いに”笑顔で過ごせる”時間を大切にしたいと考えています。
そのために、スーパー・コートのスタッフの皆さまのケア等のチャレンジと得られた成果を積み重ねて、社会へ発信していきます。これらを通して、人々の健康と福祉に寄与したいと存じます。
■長寿いきいき研究所顧問
人間総合科学大学 健康栄養科学専攻 教授 | 橋詰 直孝 |
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新潟大学医歯学総合研究科 口腔生命科学専攻 口腔健康科学 教授 |
宮崎 秀夫 |
桜美林大学 老年学研究科 教授 | 白澤 政和 |
大阪府立大学 高等教育推進機構 健康・スポーツ科学 教授 |
清水 教永 |
一般社団法人 薬剤師あゆみの会 理事長 ファルメディコ株式会社 代表取締役社長 医師・医学博士 |
狭間 研至 |
東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長 | 藤原 佳典 |
関西女子短期大学 保険科・養護・保健コース 教授 | 今西 秀明 |
産業技術総合研究所との連携
長寿いきいき研究所では産業技術総合研究所とも、共同で高齢者介護の研究を行っております。 共同研究を行う理由として、介護業務の合理化、介護スタッフの負担軽減が挙げられます。 介護スタッフにおける行動分析の研究内容として、ナースコールの集計分析や介護スタッフの行動分析を行ってきました。
今まで経験と感覚が中心で行われていた業務内容を詳細に調査・分析を行った結果、記録業務の多いスタッフで約1時間~1.5時間の時間がかかっていることが判明しました。
このように、介護スタッフなどの業務内容を調査・分析することにより、業務の効率化、スタッフの負担軽減を行い、介護サービスの提供時間を増やし、入居者様へのより高いレベルのサービス提供に向け、今後も共同研究を続けて参りたいと考えております。