ピンピンコロリの法則

日本は世界に名だたる長寿国ですが、年をとってもピンピンしている健康長寿の人はそんなに多くはありません。
ただ長生きするだけでなく、私たちが望むのは、なくなる直前まで元気に活動するピンピンコロリ(PPK)の人生であり、不幸にして長期の寝たきりになって亡くなるネンネンコロリ(NNK)ではないでしょう。
長寿いきいき研究所顧問の首都大学東京大学院・都市システム科学 星旦二教授の研究チームが積み重ねてきた、
実践的なPPKの新しい方法論をいくつか紹介します。

長野県はなぜ長生きなのか

長野県が長生きなのは全国的によく知られています。
2005年の平均寿命は男性が第1位、女性が第5位と、素晴らしい実績です。
長野県が他県と差があることをご紹介しますと

  • 高齢者の有業率(働いている高齢者の割合) が日本で一番多い。特に農業従事者がとても多い。
  • 標高が高い自治体が多い。(標高が1000メートル上がると、男性はほぼ2歳長生きであることが調査でわかっています。)
  • 青壮年者の死亡率が低い。(特に肝臓がんの死亡率比が全国平均より約4割少ない予防接種が原因のC型肝炎による肝臓がん死亡 率が少ないことが背景にある。)
  • 1人あたりの老人医療費が最も少ない県のひとつである。
  • 地域医療の先進地域であり、「自分たちの健康は自分たちで守る」という健康への積極性が培われている。
  • 公民館活動が活発で生涯学習に力を入れているため、人口100万人換算で843.3館もあり、これは都道府県では断トツに多い数を誇っている(全国平均は134.2館)。

標高が高い土地で植物を育て(当然自然環境が良い)よく働き、生涯学習を一緒にできる仲間やご近所さんを持ち、多少の体調不良では病院に行かず薬も飲まず、「自分の健康は自分たちで守る」をモットーに生きてる人々が健康で長生きだということですね。

その他の調査からわかったこと

日本の医療状況を先進諸国と比較すると、人口あたりで見た病院病床数が米国よりも4倍以上多く、
入院期間は5倍以上長い。

→入院が長くなると健康でなくなる可能性が高い。

抗インフルエンザ薬タミフルの、世界生産量の約8割を日本で消費していることからわかるように
日本人は薬大好き国民。一方で、多くの薬害に悩んでいる国でもあります。
生物製剤によるAIDS、医療事故による肝炎が薬害の代表例といえます。

→ 薬は少なめが健康の秘訣。

長寿と歯の関係

歯周病になると、口腔内の歯周病菌が血流で心臓に運ばれ、心臓の血管が炎症を起こし、動脈硬化や心臓発作になる可能性があります。歯周病の人の心疾患での死亡率は、健康な人の2~3倍と言われています。
また、食べ物を飲み込む機能が衰えた高齢者が誤って歯周病菌が着いた食べ物を気管支や肺に送り込むことで、誤えん性肺炎を引きおこすことが知られています。
その他、歯周病で歯が抜けて食べ物が噛めなくなると脚力やバランス能力などの運動機能が低下したり、食事が進まず健康を害することもあります。
たかが「歯の病気」という考えをあらためて、かかりつけ歯科医を持ち、定期健診によって歯の病気の予防と早期発見・早期治療に努めることは大切です。

長寿と外出頻度の関係

病は気からは、本当でした

「病は気から」という言葉がありますが、多少の支障があっても「自分は健康である」と自信を持つ方は、「健康でない」と考える方に比べ、長生きすることが示されました。健康と感じるように心がけたり、相互支援をする環境づくりが大事です。
(厚生労働省、地域総合研究費に基づく、全国16市町村22,167人2年間追跡研究 星旦二ら)